自転車プロコーチの須田です。

12月11日伊豆長岡のコナステイ伊豆長岡を拠点に、トレーニング合宿を行なっているDoris Schweitzer(以下ドリス)選手にインタビューを行う機会を得ました。

ドリス選手は今シーズン、国内初のインターナショナル女子チームとして活動しているハイアンビション2020からアジアツアーに参戦し、アシストとして活躍。エーススプリンターのアリアンナ・フィダンツァの勝利に貢献しました。ハイアンビションのマネル監督が彼女の様な優秀なアシスト選手が必要だと連れてきた選手です。

女子ワールドツアーでの経験も持つ彼女が、どの様なプロセスで強くなってきたのか?

日本とスイスの違いは?

皆さん興味ありますよね??

プロフィール
Doris Schweitzer(スイス)
過去2回のスイスチャンピオン獲得。
女子ジロ・デ・イタリアのジロ・ローザ総合14位等。

須田「ドリスは何歳からどんな環境で自転車競技を始めたの?」

ドリス「17歳のときに地元のクラブチームで」

須田「始めるにあたり自転車など道具はどうしたの?」

ドリス「地元のチームがバイクを持っているのでそれに乗っていたね」

須田「地元のレースに出るとき参加費はどうするの?」

ドリス「ジュニアの頃はチームが払っていた。賞金も出るのであまりお金は掛からないよ。逆に年齢が上がって強くなってくると自己負担が増えてきて大変!」

須田「その辺は日本と違うね、日本は家族の負担が大きいんだよ。親が夢中で子供を応援して凄く高級なバイクに乗っていている子供も居るね」

ドリス「それはスイスにもいるよ!笑。でも自転車は脚だからバイクの値段は関係無いね」

須田「以前自分が見たことがあるジュニアの選手で、月に2000km位練習していると言う子がいたんだけどどう思う?スイスではジュニア期に2000km乗る事ってあるの?」

ドリス「2000km!?クレイジーだね。ジュニアのレースは距離も短いし、そんなに乗る必要ないでしょ?だって平日は学校もあるし」

須田「そうだよね、でも未だにそういった練習をしている選手もいるし、そういった指導をしている指導者もいるんだよ」

ドリス「そんなに乗っていたらジュニアの時は走れるかも知れないけど、エリートになったらもう伸びないよ」

須田「ドリスはジュニアの頃、どんな練習をしていたの?」

ドリス「10分とか3分とか決めた時間を走る練習が多かったかな。トータル2時間くらい。週末には100㎞位走る事もあるけどね」

須田「10分の練習強度はどれ位?」

ドリス「フルガス!!」

須田「ああ、全力ね!(笑」

ドリス「短い時間を全力で走る練習が多いので、10分位の登りだとエリートより速い子もいるよ」

須田「それはすごいね!でも、ジュニアの時から集中して高い強度を出す練習をしているから、エリートに上がってから時間も長く、強度も高い練習が出来るんだね」

ドリス「あとは選手のタイプに合わせた指導が多いよ。クラブチームにもしっかりとした指導者がいるし、プロのコーチングを受けて自分に合った練習をする」

須田「それは良いね。日本の場合はジュニアは学校の部活が多いので、今日の練習はこれ!みたいにみんなで同じトレーニングを頑張る!みたいな考えが多いかもしれないね。ドリス、今日は有難う。大分眠そうだね(笑」

この日、葉山から伊豆長岡まで自走し、箱根を新旧2回登ってお疲れのようでした。

現在の日本でも真似出来る事もあれば、環境的に難しいことも多くありますが指導者、親、選手が同じ方向を向いて進んいければもっと素晴らしい選手が出てくるようになるでしょう。

目の前の東京オリンピックは通過点であり、その先にどんなレガシィを残せるかが日本自転車界の大きな課題ですね。

私個人としては、強い選手が生まれる土壌はホビーサイクリストや、自転車ファンが作っていると思っています。

ウォークライドのイベントに関わってくれているすべての人が、日本の自転車レースのレベルアップに大きく関わっています。

多くの方が長く自転車を楽しむ土壌を整えていけば、才能あふれる選手が生まれてくる可能性が高くなるでしょう。

今後も、機会があれば本場を知る選手からの情報をお知らせ出来ればと思います。

今日は富士山を登っているそうです。

ドリス選手と話をして感じたのは、本当に自転車が好きなんだなぁという事でした。

取材協力 コナステイ伊豆長岡
     ハイアンビション2020